消費者問題

給与ファクタリングの適法性

この記事を書いたのは:平田 伸男

給与ファクタリングとは

 最近になり,給与ファクタリングという言葉をよく耳にする人も多くなったと思います。

 ファクタリングとは,債権等を支払い期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービスであり,法的には債権譲渡契約にあたります。

 つまり,給与ファクタリングとは,将来得られる給与債権を業者等に売却して事前にお金を得ることを言います。

①給与ファクタリングは何が問題か。

 給与ファクタリングは,実体としては貸金業と変わらないにもかかわらず,貸金業登録を受けていなかったり,多額の手数料を取ったりすることが横行しており,闇金の隠れ蓑になっており,逆に生活が破綻してしまうケースが多くなっています。

②給与ファクタリング業者からの請求が認めらるか

 それでは給与ファクタリング業者に多額の手数料を支払わされた場合,適法な契約として給与ファクタリング業者に対して会社から支払われた給与を返済しなければならないのでしょうか。

 この点,給与ファクタリング業者が給与債権を譲渡した給与労働者に対して,給与労働者がその額面額で買い戻す旨の合意が成立していたにも関わらず,給与労働者が買戻し代金を支払わないなどとして買戻合意に基づく代金の支払いを求めた事案において,「給与ファクタリングの仕組みは,経済的には貸付けによる金銭の交付と返還の約束と同様の機能を有するものと認められ,本件取引における債権譲渡代金の交付は,「手形の割引,売渡担保その他これに類する方法」による金銭の交付であり,貸金業法や出資法にいう「貸付け」に該当する」として上で,貸金業法ないし出資法の定める計算方法により計算すると年850%を超える割合による利息の契約をたとと認められ,貸金業法や出資法の制限利息を大幅に超過するもので公序良俗に反するとして給与ファクタリング業者の請求を認めませんでした(東京地判令和2年3月24日)

 公序良俗違反になるかはケースバイケースですが,まずは給与ファクタリングに手を出さないことが肝要です。

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この記事を書いたのは:
平田 伸男