相続分の指定のみの遺言
この記事を書いたのは:川口 正広
相続分の指定とは、遺言によって、法定相続分とは異なる相続分を定めるものをいいます。
遺言の中には、例えば、
子供Aに20%
子供Cに50%
というように、どの遺産を誰に相続させるかまでは書かずに、単に割合だけを指定する遺言もあったりします。
しかし、いざ相続手続きをしようとすると、だれがどの遺産を取得するかの話し合いでもめることがあります。
割合そのものは相続人全員が尊重する意向をもっていても、株をもらいたい、預貯金をもらいたい、不動産をもらいたい、などとどの遺産を取得するかでもめることもあるのです。
こうした場合は、どのような手続きで解決することになるでしょうか。
実務的には、相続分の指定は、遺産共有の状態に変更を加えるものではなく、各相続人に対し、個々の相続財産に対する具体的権利を取得させる効果を有するものではないと解されています。
そうすると、遺産共有状態を解消する手段としては、遺産分割調停・審判ということになります(共有物分割手続きではないということですね)。
そのため、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて、最終的に、遺言に記載された相続分に従った審判によって解決されるものということになります。なお、特別受益などがあれば持ち戻し免除の意思がみとめられない限り考慮されて審判されることとなります。
@参考文献
家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務(第4版・517頁~)
この記事を書いたのは:
川口 正広