将来の介護料等の賠償金の定期金賠償に関する最高裁判決
この記事を書いたのは:戸田 裕三
交通事故で介護が必要となるような大きな後遺症等が残ってしまった場合に、将来の分の介護費用や将来発生する予定の労働賃金も損害賠償として請求することになります。
多くの場合は、将来分は現時点の金額に引き直して利息分を割り引く形で加害者に一括での支払いを求めています。
将来の介護費用
将来の介護費用に関しては過去の裁判例で一括ではなく毎月発生する分を毎月支払う形の定額払いが認められたケースがありました。
なお介護費用が、このような将来にわたっての定期金賠償となった場合には、被害者の死亡によって定期金は終了することになります。
将来の労働賃金
令和2年7月の最高裁判例で将来の労働賃金に関しても毎月の定額払いを認める判決が新たに出されました。
定期払の場合は、現在の金額に引き直す必要が無いので利息分が天引きされることがなくなりますので、支払合計額は最終的には多くなります。
なお定期金賠償になった場合に被害者の就労可能期間の終期(一般的には67歳)が到達する前に被害者が死亡された場合でも、就労可能期間の終期まで賠償金が受け取れるものと判断しました。
最高裁の裁判例の適用範囲
なお今回の最高裁の裁判例では、後遺症が残る案件全てにわたっての定期金払いを認めたものではありませんので、今まで通り一括での請求が原則になるものと思われます。
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この記事を書いたのは:
戸田 裕三