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不動産の売買や賃貸で売主や前の借主が死亡していた場合、買主や賃借人に何を告知するべきでしょうか

この記事を書いたのは:澤 健二

不動産を購入しようとしたり借りようとする場合、売主の身内が自殺していたり、前の借主が事件を起こして亡くなっていたりした場合に売主や貸主はどの程度の説明をすべきでしょうか。

今までは、建物賃貸借で前の借主が自殺や殺人等で死亡した場合は告知義務があるとか、土地売買で敷地上の建物とともに売却する場合は告知義務があるが建物を壊して土地だけ売る場合は告知義務がないとか、死亡から3年経てば告知しなくていいとか種々の見解がありました。

病死などの場合も告知義務があるとすると単身高齢者は建物を借りれなくなるとか不都合もあり、何らかの基準があったほうが不動産取引が安心かつ円滑になされるうことになるでしょう。

これらを「不動産取引にかかる心理的瑕疵」の問題としていろいろ議論されてきましたが、令和3年10月に国土交通省がガイドラインを公表しました。

https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00029.html

これによると自殺や殺人など告げるべき死亡原因をあげるのではなく、「人の死に関する事案が取引の相手方の判断に影響を及ぼすと考えられる場合は告知することを原則としつつ告知しなくていい場合を挙げるという方式を採用しました。

告げなくてもいい場合は①対象不動産で発生した自然死・不慮の死(転倒事故・誤嚥等)②賃貸借取引で、対象物件で①以外の死、特殊清掃が行われた①の死が発生してから概ね3年が経過した後③対象不動産の隣接住戸・通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃が行われた①の死 とされました。

これらに該当しても、事件性とか社会に与えた影響等例外も設けられていますので、迷ったら専門家にご相談ください。


この記事を書いたのは:
澤 健二