離婚問題

養子縁組時から養育費支払義務は無くなるのか

 平成26年5月に夫婦が離婚しましたが、未成年の子供3人の親権者は母親となりました。

 離婚時の約束として、養育費は1人当たり月6万円、親族構成に変化があるときは互いに通知する、などがありました。

 その後、平成27年11月に母親は再婚しました。母親は父親に対し、再婚したこと、再婚相手と子供らとを養子縁組するつもりであるとの連絡をしました。

 その後、平成27年12月、再婚相手と子供らとは養子縁組をしましたが、正式に養子縁組をした旨の連絡はしていませんでした。

 そうした状況で、父親は約束した養育費の支払いを続けました。

 令和1年、子供が養子縁組をしている事実に気づいた父親は、養子縁組をした平成27年12月から養育費の支払義務はないとの調停を家庭裁判所に申し立て、その後、審判に移行しました。

最終的に、裁判所は次のように決定しました。

1)子供らの扶養義務は、第一次的には親権者と養父(再婚相手)であり、その資力の点で十分に子供を扶養できないときに限り、第二次的に実親が扶養義務を負担する。本件では、養父(再婚相手)の年収が3870万円であり、親権者(母親)と養父が扶養義務者であって、父親は扶養義務を負担しない。

2)実父は、母親からの連絡で養子縁組をする可能性があることを認識できたのに、そのまま何年も養育費を支払い続けた。すでに支払われた多額の養育費の返還義務を生じさせることは、母親及び養父に不測の損害を与えることになる。そのため、養育費の免除の始期は、免除の調停を申し立てた令和1年とする。

 なお、本件の一審裁判所(家庭裁判所)では、養育費の免除の始期については、事情変更時(養子縁組時)の平成27年12月としていましたが、二審(高等裁判所)がこれを変更し、調停申立時としました。

 再婚相手の収入に何の問題もない状況では、養子縁組によって実父の養育費支払義務がなくなることは明らかで、ただ、いつから養育費が無くなるとするのかの考え方が違いました。裁判官によっても結論が変わるのではないかと思えますから、弁護士としても免除の始期を調停申立時と安易に考えることはできないでしょうね。

@東京高裁令和2年3月4日決定(判例時報第2480号3頁)